2005年03月31日

アレクサンドロスと少年バゴアス/中央公論新社

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アレクサンドロスと少年バゴアス
メアリ・ルノー (著), 堀 たほ子 中央公論新社

★★★★★

ヘファ度:★★★★
バ ゴ度:★★★★★

ペルシアの少年バゴアス目線から見たアレキサンドロス。

と て も よ か っ た で す

アレキサンドロス通の方へもそうでない方へもオススメできます

バゴアスのとても繊細な心理描写が素晴らしいです。
アレキサンドロスとヘファイスティオンはバゴアス目線で
具体的な人物像が浮かんでくることになりますが二人ともすごい魅力的。
アレキサンドロスとヘファイスティオンの関係も、
アレキサンドロスとバゴアスの関係も(今回これが主)
更には、ヘファイスティオンとバゴアスとの関係までもが非常に
私の心を打ちました。
・・っていうかこの3人のうちの誰かになりたい。
(映画ではアレキサンダーでしたが、この本はアレキサンドロスという表記)


訳者の方が愛情込めて訳されているのが伝わります。
ありがちなで味気ないものではなく、とても引き込まれる文章でした。
直接的ではない心理描写に何度ため息ついたことか。
映画とは違う側面からの見方で非常に興味深いです。
ハードカバーなのかじりついてだいぶ夢中になって読んでしまいました。


以上簡単な感想終わり。
拾い読みでドゾ。
しかもだいぶ▼(さんかく)関係に興味が偏ってます。



性別(男男)を乗り越えて人人の繋がりを非常に感じました。
その辺の愛情まわりの感想を。


●どんな感じ?

とにかくバゴアスのアレキサンドロスへの愛情が濃い!
大好きで大好きでたまらないって感じ。
捨てられたら潔く死ぬよ。って常にそんな意気込み。
映画とは違った見方のアレキサンドロスとヘファイスティオンの
英雄憚みたいなのを味わいたかったのですが、
すっかり中心点は「同じ人を好きになった二人」


●っていうかバゴアスって誰?
ついでにあらすじでも。

バゴアスは少年時代に去勢され、誰かの所有物(モノ)になるしかない
比較的不幸な境遇の美少年(→ポイント)

---------------
(3/11追記)
バゴアスは宦官でした。
→宦官(かんがん)/読み方なかなか覚えられないので書いとこ
去勢された男子のこと。麻酔なしで機能を切除されたらしい。
---------------


かといってバゴアスは最初から身分が低かったわけではなく、
ダレイオス王の前のオコス王によく仕えた忠臣の息子でした。
しかしオコス王が暗殺されてしまい、バゴアスの家も崩壊しました。
家族を全て失ったバゴアスは、男性であることも奪われてしまいました。

不幸の発端のオコス王暗殺者は同名のバゴアスという人なのがちょっと皮肉。
その後、ダレイオス王が即位するのですがその辺の経緯は本書ではさらりと書かれてます。
更に色々経緯を経てダレイオス付きとなるのですがそこには愛はなかったようで。

後にアレキサンドロスがダレイオス王を倒すことになります。
映画ではバゴアスはあんまり苦労せずバビロンの城でアレキサンダーと出会いました。
本書では逃走中のダレイオスにくっついていってるので色々苦労してます。
ダレイオスが殺されたあと、身の振り方を決めるまでも苦労が絶えません。

そしてとうとう出会うわけです!
生涯愛し続けたいと思える偉大な王に!(きゃあ)


●主な登場人物の感想を簡単に。

・バゴアス
彼の熱烈ぶりは正直ヘファイスティオン派の私としてはウザっっ!
・・と思ったりもしました。
彼なりに精一杯だし、ヘファイスティオンのことも複雑ながらも認めてるし、
バカじゃないし、美少年だしでどうにも憎めないなあ・・・
・・・と思って読み進めていったらだいぶ人間的に大好きになりました。

・アレキサンドロス
映画で顕著だった母親の影響による狂気は感じられませんでした。
本書のアレキサンドロスの武人として征服者としての表情は遠く
俯瞰された感じで描写されます。
(直接闘いバゴアスが触れることのできるアレキサンドロスなもので)
戦闘で勝利し、友人たちと飲み明かした後・・もしくは、
瀕死の状態に陥って運ばれてくるところからがバゴアスの出番ですから。
映画の目線とはだいぶ違います。
いうなれば舞台裏のアレキサンドロス!?

・ヘファイスティオン
バゴアス目線なのであまり接していない彼はあまり出てきません。
しかし彼の存在はやはりバゴアスにとっても大きいです。
映画のジャレッド・レト@ヘファイスティオンのかわいいくて
一途な感じもよかったんですが、本書のクールでスマートで強靭な雰囲気も素敵。
読んでる途中に、ふと思い立ち未読のページをぱらぱらとめぐっては
「ヘファイスティオン」という単語を見つけてその周辺を拾い読みしたりしてました。
マーカーで色つけたくなりそう。
アレキサンドロスへの想いや、バゴアスに対しての気持ちやらが
垣間見えると悲しくなったり、幸せな気分になったり。


●一番興味があったこと。
それはバゴアスとヘファイスティオンの確執!?

映画では二人の接点はほとんどありませんでした。
しかし同じ人を同じだけ想う人同士、
絶対に思うところアリアリじゃあありませんか。

・バゴアス、ヘファイスティオンを暗殺!?
アレキサンドロスを幼いころから知り、恋人でもあるヘファイスティオン。
バゴアスはそんな彼に激しく嫉妬します。
それはもう、抹殺したいほどに。
毒殺が頭をよぎったようですが、それは決行しませんでした。
それはなぜか。
アレキサンドロスの大切な人だから。
ノックアウトです。
・・簡単に書いちゃいましたが本書での言い回しとか、妙に感動しちゃって、
二行くらいを何度も何度も繰り返し読んでしまいましたよ。

・同じ人を違う角度から守る姿に感動!
クレイトスの死の時。バゴアスはヘファイスティオンほど
アレキサンドロスの気持ちを汲むことができません。
王と臣下とは絶対の隔たりがあると体感してきたバゴアスには、
ヘタイロイだとか、主従であるが友でもあるといった関係が理解できない。
更に言うと、悲しいかなバゴアスは常に人と対等であることがなかったため、理解できない。
しかしバゴアスもヘファイスティオンとは違う角度からアレキサンドロスを守ってる。
(アレキサンドロスになりたいかも・・)

そんなヘファイスティオンとバゴアスが面と向かって話すシーンもあります。
もっと克明に感想かきたいんですが、長くなりすぎるのでやめます・。



●愛(!)

私恋愛ものは苦手なんだよね、ってよく言うし実際そうなんですが、
今回のバゴアスとヘファイスティオンのアレキサンドロスに対する
愛レベルが高すぎて体感的にすんなり入っちゃうんですよね。
愛という言葉そのものの体現者たちであろう!
なんて。
言いすぎ?
とにかく私はこんなに人を大切に想った事はありませんので感動しました。


●探し物

今回はバゴアス目線でしたが、
ヘファイスティオン側からの目線の書物はないものだろうか。




posted by アウラ at 01:12 | TrackBack(0) | 小説[読了→感想アリ]



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